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第26話「魔王ジョーク」

last update Data de publicação: 2025-11-19 23:01:47
湿った岩肌に囲まれた拠点の奥地、粗末な石造りの机が置かれた空間にネラフィムの主要な面々が集まっていた。

壁に埋め込まれた蛍晶けいしょう鉱石が淡く光を放ち、緊迫した空気を纏う部屋を照らしている。

ヴァルディルが机に手を置き、低い声で口を開いた。

「勇者が味方になってくれるとはいえ、前回の襲撃で俺たちの存在はヤツらに露見してしまった……。次に補給路を守る護衛は、間違いなく数を増やし、精鋭たちを配備してくるだろう。雇っている用心棒を連れて来る可能性も高い……」

用心棒という言葉にカリアが反応して、眉をひそめた。

「用心棒と言えば……きっと、ガルベルの野郎だ……」

「ガルベル? 知ってるヤツなのか?」

セリュオスが首を傾げながら問う。

周りの面々もガルベルの名前を聞いてざわついており、その人物を知っているような雰囲気だったのだ。

「化け熊みたいに巨大な身体を持ったヤツだ。昔から、狂暴で荒くれ者で手を付けられなかったんだが、魔王軍が金に物を言わせて味方にしてしまったんだ……」

苦虫をみ潰したような顔でカリアが言った。

「……つま
白浪まだら

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  • 時空勇者 〜過去に遡ったら宿敵の魔王と旅立つことになりました〜   第80話「霧と夢と幻と」

     地を這う民の街を出て、2日ほど歩いて辿り着いた霧の民の拠点は、山の内部に溶け込むように存在していた。 岩肌を穿ち、洞を広げ、その空間すべてを霧で隠すことで外界と隔離している集落。  それが、霧の民が住まう土地だった。 人工物でありながら、どこか自然の一部のようでもある。  天井も壁も、明確な輪郭を把握することは、霧の民ではないセリュオスには難しい。 視界は常に白く揺れ、ただでさえ足元すらも曖昧で、初めて訪れる者には距離感すら掴めないのだ。  さらには、この拠点内に立ち込める霧は一様ではなかった。 淡い乳白色のもの、薄青く冷たく感じるもの、光を反射して煌めくもの。  それらが幾層にも重なり合い、ゆっくりと流れ、時折形を変えていく。  呼吸をするたび、肺の奥にまで冷たく柔らかな感触が染み込んでくるようだった。「ここが、アタイら霧の民の拠点さね」  先頭を歩いていたレバザが振り返り、そう告げた。  声は落ち着いており、どこか柔らかさを帯びている。 かつて、セリュオスを拒むように尖っていた表情は、今は鳴りを潜めていた。  むしろ、確かな信頼が滲んでいるように見える。  森の民との諍いを乗り越え、共に地を這う民の隧道を旅し、時間を分け合った結果だろうか。「色とりどりの霧か……。しかも、かなり視界が悪いな」  セリュオスが率直に言うと、レバザは肩を竦めた。「慣れれば、すぐに気にならなくなるよ。それに、この霧はアタイらを守ってくれる砦にもなってるからね。目を凝らせば、ちゃんと仲間たちの姿も見えるだろ?」  レバザは集落の内部を示すように腕を軽く振る。  彼女に言われたとおりに、その先をジッと見つめていると、霧越しに点々と浮かぶ住居の灯りのようなものが見えてきた。 その周りには、作業を終えてくつろぐ人々の気配を感じ、器具を片付ける金属音、低く交わされる談笑さえも聞こえてくる。  子どもたちの小さな笑い声が、霧に溶け、輪郭を失いながら耳に届く。 どれもが、確かに日常の音だった。  かつて、森の民と対立していた頃は、この拠点には張り詰めた空気が漂っていたことだろう。 いつ侵略されるかわからない恐怖に、疑念と警戒。  だが今は、穏

  • 時空勇者 〜過去に遡ったら宿敵の魔王と旅立つことになりました〜   第7話「覚悟を決めたダルク」

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  • 時空勇者 〜過去に遡ったら宿敵の魔王と旅立つことになりました〜   第6話「ドワーフの暴れん坊」

     酒場の灯りが暖かく揺れている。  石造りの壁に吊るされたランプの火が、木の長椅子や酒樽を柔らかく照らし、賑やかな笑い声や歌声が響いていた。  酔ったドワーフたちが腕を組んで歌い、卓上では豪快に肉と麦酒が飛び交っている。 その片隅に、セリュオスとフィオラは腰を下ろしていた。  二人の前に並んでいるのは焼いた獣肉の皿と、香草を利かせた野菜の煮込み。  それを前にしながらも、フィオラは落ち着かない表情を浮かべている。「……酒臭い……」 「そうか?」 「匂いだけじゃない。声も、空気からも臭ってくる。酔っぱらいの大声なんて聞いてると、頭が割れ

  • 時空勇者 〜過去に遡ったら宿敵の魔王と旅立つことになりました〜   第5話「二人旅」

     森の奥は昼にも関わらず暗く、頭上の枝葉が厚く茂っていた。  陽光はほとんど遮られ、差し込むわずかな光の筋が、細かな塵や羽虫を煌かせている。  鳥のさえずりも少なく、代わりに湿った土を踏む二人の足音と、絶え間なく続く口論がやけに響いていた。「だから言ったでしょう! あの川は東に曲がり始めていたって!」 「いいや、あれは確かに北の方向に伸びていたね。太陽の位置を見れば、簡単にわかるだろ」 「あなたの感覚ほど信用ならないものはないわ! 気まぐれな森は私たちを騙すことだってあるのよ!」 二人は言い合いをしながらも、その歩みを止めることはしない。

  • 時空勇者 〜過去に遡ったら宿敵の魔王と旅立つことになりました〜   第4話「フィオラの想い」

     セリュオスとフィオラは鬱蒼と茂る森の中を進んでいた。  視界は木々の枝葉に覆われ、陽の光はほとんど地に届かない。  落ち葉に埋もれた獣道のような細道を踏みしめるたび、靴底に湿り気がまとわりつく。  そんな心細さを抱えながらも、彼は目の前を歩くエルフの背を見失わぬように注意していた。「……本当に、こっちで合っているんだろうな?」  気まずさを紛らわすように声をかけると、フィオラはぴたりと足を止め、振り返りもせずに言い放った。「文句があるなら一人で歩きなさい。私はあなたを導いているわけじゃない。ただ、私が帰る道を歩いているだけ」  その声音には棘が

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